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AI/ML 

GP、GenAI、RAG など、AI を取り巻く頭字語や略語は数多くありますが、その中に埋もれてしまっている質問が 1 つあります。

それは、「AI を真にオープンソース化することは可能なのか」という質問です。

オープンソースの原則、つまりパーミッシブライセンス、トレーニングデータと重み付けの透明性、そしておそらく何よりも重要である、オープンソースモデルに貢献できるという点は、最終プロジェクトにどのように影響するでしょうか。

AI の有名なプレーヤーの多くが提供する、「オープンモデル」と呼ばれるものは確かに存在します。しかしそれらはオープンソースではないか、一定の制限が課されており、それが課題となっています。特定のエンタープライズ・ユースケースで本当に役立つモデルを創り出すためには、まずモデルに関するあらゆること、つまりどのようなトレーニングを行い、トレーニングにどのようなデータを使用し、誰が貢献したのかなどを理解しなければ、自社の内部データを使用したファインチューニングなど考えることもできません。

Red Hat Summit 2023 で、Red Hat は AI モデルを大規模に実行するための基盤となる Red Hat OpenShift AI を発表しました。これは AI ワークロード向けのスケーラブルで最適化されたパワフルなプラットフォームですが、実際のモデルの提供だけに特化しているわけではありません。Red Hat は本日、自社の戦略が AI 対応アプリケーションのバックボーンを提供することだけでなく、コミュニティとオープンソースのちからをモデルそのものにもたらすことを目指すものであることを明確にしました。

Red Hat は IBM Research とのコラボレーションにより、言語とコーディング支援の両方について、複数のモデルをオープンソース化しています。これをさらに画期的なものにしているのが InstructLab です。これは新しいオープンソース・プロジェクトで、個人がシンプルなユーザー・インタフェースを介してモデルを強化できるようにします。オープンソース・プロジェクトにプルリクエストを行うのと同じ方法で、LLM に貢献できると考えてください。

LLM をフォークしても、他の誰も貢献できない行き止まりを作り出してしまうだけです。しかし InstructLab では、世界中の誰もが知識とスキルを追加できます。このようなコントリビューションは、モデルの将来のリリースに組み込むことができます。簡単に言えば、InstructLab には、データサイエンティストでなくても貢献できます。InstructLab を使用すれば、ドメインエキスパートや SME (もちろんデータサイエンティストも含む) はモデルに貢献し、あらゆる人の役に立てることができます。これがコミュニティにとってもエンタープライズにとっても極めて大きな力となることは、いくら強調しても足りません。

RHEL AI は、世界をリードするエンタープライズ Linux プラットフォームの重要なコンポーネント (新しく発表された Red Hat Enterprise Linux のイメージモードの形式を使用) に、オープンソース・ライセンスの Granite モデルと、InstructLab プロジェクトのサポート付きでライフサイクルの規定されているディストリビューションを組み合わせたものです。InstructLab は、AI におけるオープンソースの役割をさらに拡張し、基盤となるオープンソースモデルの操作やこれに対する貢献を、他のコミュニティプロジェクトに貢献するのと同じくらい簡単に行えるようにします。

AI のイノベーションは、大規模な GPU ファームや大人数のデータサイエンティスト・チームを用意できる組織だけのものとなるべきではありません。開発者から IT 運用チーム、基幹業務部門に至るまで、誰もが自分の選択した方法で、何らかの形で AI に貢献できる方法が必要です。これを可能にするのが InstructLab の長所であり、RHEL AI の可能性はここに由来します。閉鎖的なものになりがちな AI の世界に、オープンソースによるアクセス性をもたらします。

これが、Red Hat の AI 製品戦略が目指すものです。Red Hat が歩んできた道は、Red Hat の理念を体現しています。Red Hat はこれまでに、企業向けの Linux、Kubernetes、ハイブリッドクラウド・コンピューティングでオープンソースのちからを実現してきました。

現在 Red Hat は、AI に対して同じ取り組みを行っています。AI の力は誰もが活用できます。そうであれば、誰もが AI にアクセスし、貢献できるべきです。オープンな場で、みんなで取り組みましょう。


執筆者紹介

Ashesh Badani is Senior Vice President and Chief Product Officer at Red Hat. In this role, he is responsible for the company’s overall product portfolio and business unit groups, including product strategy, business planning, product management, marketing, and operations across on-premise, public cloud, and edge. His product responsibilities include Red Hat® Enterprise Linux®, Red Hat OpenShift®, Red Hat Ansible Automation, developer tools, and middleware, as well as emerging cloud services and experiences.

Previously, Badani was Senior Vice President of Cloud Platforms, where he helped solidify the company as a hybrid cloud and enterprise Kubernetes leader. Under his leadership, Red Hat has also expanded OpenShift from an award-winning Platform-as-a-Service solution to the industry’s leading enterprise Kubernetes platform, with 1,000+ customers spanning all regions and industries. Badani started at Red Hat overseeing product line management and marketing for the Red Hat JBoss® Enterprise Application Platform middleware portfolio.

Badani has played a significant role around strategy, analysis, and integration for key Red Hat acquisitions—including StackRox in 2021, CoreOS in 2018, and FuseSource in 2012—to bolster the company’s integration portfolio.

Prior to joining Red Hat, Badani served as Director of Product Management and Product Marketing of Integration and Application Platform Products at Sun Microsystems. He has more than 20 years of experience in the technology and finance industries at both established and emerging companies.

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